結膜炎
結膜炎とは
結膜炎とは、瞼の裏の眼瞼結膜や、白目の部位の球結膜という粘膜に炎症が起こっている状態をいいます。主に目が赤くなる(充血)、目のかゆみ、目やに、異物感、瞼の腫れなどの症状が起こります。病原生物(細菌、ウイルスなど)の感染、アレルギーなどが原因とされており、アレルギー性結膜炎の中で花粉が原因となるものが花粉症です。
眼科では顕微鏡により結膜の状態を観察して診断します
症状が似ていても、原因が違えば有効な薬は異なります。例えば、ウイルスの感染には抗生物質は無効ですし、感染性の結膜炎には抗アレルギー剤は効きません。なので、市販の点眼薬で効果がない場合には、その点眼薬が原因に合っていない可能性がありますので、数日点眼して症状が改善されない時などには、眼科を受診するようにしてください。特にウイルス性結膜炎の場合、自分が感染原となる可能性もありますので、早期の診断が必要となります。眼科では顕微鏡により結膜の状態を観察して、診断を行います。
結膜炎の初期症状
- 目の充血
- 目やに
- 瞼の腫れ
- 目のかゆみ
- 異物感
症状が進行すると…
ウイルス性結膜炎
結膜が充血し、瞼の腫れ、目やになどを引き起こします。角膜炎のため、強い痛みが起こることもあります。基本的には失明など重篤な症状に至ることはありませんが、感染力が強いため、まわりの人への感染に注意する必要があります。また、感染は涙、目やにを介して起こりますので、手洗いの徹底、タオルの共有をしないなどが感染予防の基本となります。
アレルギー性結膜炎
かゆみがひどくなり、生活に支障をきたすほどになる場合もありますので、早期に眼科を受診し治療を受けられることをおすすめします。季節性の場合、季節前投与
(花粉の出る2~3週間程度前から点眼を始める)が有効であるとされています。花粉症の初期療法
点眼、服薬などを花粉が飛散する2~3週間程度前から開始することで、症状の緩和が期待できます。毎年花粉症でお悩みの方は、一度お気軽にご相談ください。
上強膜炎
上強膜炎とは
上強膜炎とは、白目の部分のほとんどを占める「強膜」で起こる炎症です。はっきりとした原因はわかっていませんが、アレルギー反応、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患、梅毒や結核などの炎症性疾患などによって引き起こされるのではないかと考えられています。症状は総じて軽度ですが、炎症が全体に広がると痛みをともなうようになる場合があります。
上強膜炎の初期症状
- 目の強い充血
症状が進行すると…
上強膜炎は男性よりも女性に発症することが多いとされており、青年期に多くみられます。重篤な症状に進行することは稀で、軽度な症状のまま治癒に向かうことがほとんどですが、炎症が全体に広がると痛みをともなうようになる場合があります。
結膜結石
結膜結石とは
結膜結石(コンクレメント)とは、成人の瞼結膜や慢性炎症の瞼結膜などにみられる、白色または黄色の小さい状斑点のことです。実際に石灰化を起こすことは稀なので、「結石」という呼び方は正確ではありませんが、一般的にこう呼ばれています。結膜の中の杯細胞からの分泌物や遊走白血球、脱落した結膜上皮細胞の変性物質などが、瞼結膜のヘンレの腺と呼ばれる管状の陥凹部に溜まってできるとされています。徐々に陥凹部から表面に放出されてくるため、目の表面に直接接触するようになると異物感を覚える場合があります。
結膜結石の初期症状
- 白目の部分が黄色く変色する
症状が進行すると…
症状が進行し、結石が角膜の上皮部分を傷つけた場合には、充血を引き起こし、激しい痛みのために目が開けられなくなることがあります
結膜結石の治療
結石が結膜外に出た場合、涙によって自然に流れ出ることもありますが、症状が改善しない場合には摘出します。
結膜浮腫
結膜浮腫とは
結膜浮腫とは、結膜が浮腫(腫れ)を起こし、水が溜まったように膨らんだ状態のことです。局所の炎症や、局所アレルギーによる過敏反応などで血管内皮が障害され、血管から漏れ出た組織液が溜まることで発症します。そのほかの原因として、血管運動神経の不安定さによるものや、眼窩部の静脈系のうっ血によるもの、血漿タンパクの減少によるものなどがあり、原因となる疾患を治療することで症状を改善に導きます。
結膜浮腫のうち、特に多いのがアレルギーによるものです。白目がゼリー状に膨らんだように見え、異物感やかゆみを引き起こす場合があります。自然に吸収されることもありますが、普段からアレルギーを指摘されている方は、できるだけ目のまわりを触らないようにして予防に努めましょう。
結膜浮腫の初期症状
- 白目がぶよぶよと腫れる
- 目の充血
- 異物感
症状が進行すると…
黒目の周囲が飛び出し、瞼が適切に閉じられなくなる場合もありますが、浮腫自体はそれほど重篤な症状には至りません。アレルギーによるものか、炎症によるものかを特定し、対策を立てることが大切です。
瞼裂斑(けんれつはん)
結膜弛緩症とは
瞼裂斑とは、紫外線やコンタクトレンズなどによる刺激によって、結膜が分厚くなった状態のことをいいます。通常、分厚くなった部分は黄色く変色し、シミのように見えることから「目のシミ」とも呼ばれています。鼻側の白目に起こりやすいとされていますが、耳側、あるいは両側で起こることもあります。
瞼裂斑によって結膜が分厚くなった部分が、瞬きのたびに瞼に擦れて炎症を起こす場合があります。これを「瞼裂斑炎」といいます。瞼裂斑炎が視力の低下を招いたりすることはありませんが、充血などの炎症症状が気になる場合には、抗アレルギー剤や非ステロイド系炎症剤、ステロイド剤などを点眼することで症状を改善に導きます。
瞼裂斑の初期症状
- 白目の部分が黄色く変色する
症状が進行すると…
瞼裂斑によって結膜が分厚くなった部分が、瞬きのたびに瞼に擦れることで炎症を起こす場合があります。これを「瞼裂斑炎」といいます。瞼裂斑炎が視力の低下を招いたりすることはありませんが、充血などの炎症症状が気になる場合には、抗アレルギー剤や非ステロイド系炎症剤、ステロイド剤などを点眼することで症状を改善に導きます。
結膜弛緩症
結膜弛緩症とは
結膜弛緩症とは、白目の部分の球結膜下の組織の緩みが平均よりも強い状態のことをいいます。結膜弛緩症の原因ははっきりとわかってはいませんが、加齢とともに発症するリスクが高まる傾向にあります。発症すると涙液の流れや、目の表面の涙の膜の形成を阻害したりするようになり、ドライアイと同様の症状を引き起こす場合があります。
瞼裂斑の初期症状
- 目の乾き
- 白目の部分が黄色く変色する
- 目の違和感
- 異物感など、ドライアイでみられるような症状
- 球結膜下出血
症状が進行すると…
症状が進行すると、手術が必要となる場合があります。当院では結膜弛緩症の手術に対応しておりますので、症状でお困りの方はお気軽にご相談ください。
球結膜下出血
球結膜下出血とは
球結膜下出血とは、球結膜の血管からの出血です。結膜炎の時などにみられる結膜充血と違い、症状が現れないことが多く、まわりの人に指摘されて気づいたり、鏡を見て気づいたりして受診される方がほとんどです。出血量によっては小範囲、あるいは白目の半分や全体が赤くなり、大量に出血した時には赤黒くなることもあります。主な原因として、異物が入ったり目を擦ったりすることで受ける局所の外傷、顔面の強打、強い咳、嘔吐、腹部や胸部の圧迫などによる頭部のうっ血、動脈硬化、高血圧、糖尿病などの全身疾患、出血性血液疾患などが挙げられますが、原因がはっきりしない場合もあります。出血は自然に吸収されますが、出血量によっては吸収されるまでに数日から1~2週間程度かかることもあります。
球結膜下出血の初期症状
- 白目の部分が赤くなる
- 白目の部分に出血がみられる
症状が進行すると…
通常、出血は数日から1~2週間程度で自然に吸収されますが、出血原因を追究して再発を防止するためにも、出血があった時には早期に眼科を受診するようにしてください。