眼瞼には、瞼の開閉に必要な筋肉組織、涙の脂肪成分を分泌する瞼板腺(マイボーム腺、ツァイス腺)、異物が入るのを防ぐセンサーのような役割を果たす睫毛があります。そして瞼の縁には瞼板腺の分泌物が排出される開口部があり、これは片側の瞼につき30~40個程度あります。
麦粒腫とは
麦粒腫とは、一般的に「ものもらい」と呼ばれる目の病気の一種です。細菌に感染することで瞼が炎症を起こし、赤く腫れたり、かゆみや痛みなどの症状が現れたりします。麦粒腫のうち、瞼の外側の汗腺や睫毛の根元に感染したものを「外麦粒腫」、瞼の内側のマイボーム腺に感染したものを「内麦粒腫」といいます。
腫れた部分に膿が溜まります。化膿して自然に排出されれば治ることが多いですが、悪化することも考えられますので、眼科にて適切な治療を受けるようにしましょう。
抗生剤の点眼や内服により、軽快することが多いですが、大きく腫れて痛みが強い場合には、切開排膿が必要となる場合があります。
霰粒腫の炎症部位は、内麦粒腫と同じ瞼の内側のマイボーム腺ですが、痛みがなく、慢性肉芽性炎症と呼ばれる性質のもので、これはマイボーム腺が詰まることで脂肪成分が溜まり、生体毒として作用し、異物反応を起こすことで発生するとされています。目やに、白目の充血、瞼の腫れなどの初期症状が現れ、さらに進行すると瞼に膿が溜まって腫れる場合があります。その後、膿で腫れた部分が自然に破裂して快方に向かうことが多いですが、稀に眼瞼膿瘍を併発し重症化する場合があります。眼瞼膿瘍は瞼が開かなくなるほど腫れ上がったり、発熱や頭痛、睡眠障害を引き起こしたりすることもありますので、快方に向かったからといってそのまま放置せずに、眼科で適切な治療を受けられるようにしてください。
症状が進行すると瞼に膿が溜まり、大きく腫れる場合があります。その後、膿で腫れた部分が自然に破裂して快方に向かうことが多いですが、稀に眼瞼膿瘍を併発し重症化する場合がありますので、そのまま放置せずに眼科で適切な治療を受けられるようにしてください。なお、瞼にしこりが残る時には手術が必要となる場合があります。
抗炎症剤(ステロイドなど)の局所投与を行ったり、手術的に摘出したりする場合があります。手術には瞼の表側(皮膚側)から切開する方法と、瞼の裏側から切開する方法があり、瞼の表側から切開した場合には縫合が必要となりますが、裏側から切開した場合には縫合は必要ありません。どちらを選択するかは手術を行う部位や患者様の症状によっても異なりますが、いずれの方法を行うにしても、術前には必ず詳しく内容をご説明致しますのでご安心ください。